曖昧さのことば
27語
はっきりせず、どちらとも取れる状態。欠陥としてではなく、対立を避け余白を残す知恵として肯定的にも捉えられてきた、日本語的な「不明瞭さ」の代表格。
色・味・光などが薄くやわらかいさま。また、感情や記憶がかすかで、はっきりとは形を持たないさま。消えてしまいそうなほど繊細で、それゆえに美しい状態を表す言葉。
輪郭がはっきりせず、意識や視界がかすんでいる状態。意識が散漫で焦点が定まらない、または理由もなくぼーっとしている——複数の曖昧さを一語で包む言葉。
広々として果てしなく、つかみどころのない様子。大海原のように広大で、輪郭も奥行きもぼんやりとして測りがたい状態。
かたく結ばれ、締まっていたものが、力をかけずともひとりでにゆるんでいくこと。結び目だけでなく、緊張や心のこわばりまでもが、やわらかく定まらない状態へほどけていく感覚をあらわす動詞。
感じ取れるかどうかの境界に立つ、かすかな存在感。消えそうで消えない、気づきそうで気づかないほどの淡さ——その境界線上にあることが、この言葉の本質。
今にも消えてしまいそうなほど、わずかであるさま。光・音・記憶・望みなどが、あるかないかの境で、消える側へ傾いている状態を指す。
秩序や区別がまだ生まれる前の、すべてが渾然一体となった状態。個々の物事の曖昧さではなく、世界そのものが分かたれていない、根源的な曖昧さを指すことば。
眠りと覚醒のあいだで、うとうとしている状態。完全に眠ってはいないが、意識が曖昧になり、現実と夢の境が溶けはじめる時間。
意識・視界・記憶などが霧がかかったようにぼんやりとした状態。「ぼんやり」より深く、「たゆたむ」より身体的な霞みを指す。輪郭が溶けていくような感覚。
すっきりしない、心に霧がかかるような感覚。原因を言語化できないまま、胸の内にくすぶり続ける不明瞭な不快感や引っかかり。
理由や根拠を言葉にできないまま、そんな感じがする・そうする気持ちになる、という感覚表現。説明できないことをそのまま肯定する、日本語ならではの言葉。
記憶・視覚・印象などが薄く不鮮明な様子。はっきりとは思い出せないが、確かに何かがある——その不確かさと確かさの間に立つ語。朧月と同じ語根「朧」を持つ。
目的もなく、あてもなく、さまよい歩くこと。迷子になっているというより、向かう場所そのものがない——存在そのものが漂泊状態にあるような動詞。
決心がつかず、ためらって足踏みすること。前に進むべきか退くべきか決められず、その場で揺れ続けている状態。
水や空気の流れに身を任せて、方向を持たずに浮き移動する状態。心や意識が一つの場所に定まらず、ゆっくりと移ろいでいるさまにも使う。
心が決まらず、行動に踏み切れずにいること。「たゆたむ」よりも一歩踏み込んだ、意志と抵抗がせめぎ合う迷いを表す動詞。
水や空気の中でゆらゆらと漂うこと。また、気持ちや意識が定まらず、静かに揺れている状態。「迷い」よりも穏やかで、否定的でない曖昧さを含む動詞。
話や考えにまとまりがなく、つかみどころのない様子。どこにも焦点が結ばず、ふわふわと漂うように流れていく思考や言葉の状態を表す。とりとめのない、とも言う。
眠りに落ちそうで落ちない、意識がゆっくりとほどけていく半覚醒の状態。夢ではなく、現実でもない、意識の溶け際にある感覚。
眠りに引き込まれそうになりながら、何度も意識が浮いたり沈んだりする半覚醒の状態。うとうとよりも眠りに深く、波打つように繰り返す意識のゆらぎ。
空洞のように何も宿っていない眼差し・心・声。物理的な空虚さではなく、内側から何かが抜けてしまった状態——presence の欠如が感じられる言葉。
物事の結論や決着がつかないまま、曖昧なうちに時間が流れてしまう状態。意図せず曖昧になることもあれば、意図的に有耶無耶にされることもある。日本の社会的コミュニケーションの特徴とも深く結びつく語。
夢の中にいるかのような、うっとりとした心の状態。覚醒しながらも現実の感覚が薄れ、どこかふわりとした幸福感の中にいること。朦朧とは違い、心地よさを伴う。
夢か現実かはっきりしない、半分眠ったような曖昧な意識の状態。眠りと目覚めのあいだで、心がどちらにも属しきれずに漂っていることば。
炎や光が揺れ動くように、内側にあるものが不安定になる状態。「たゆたむ」が穏やかな揺れを肯定するのに対し、「揺らぐ」には基盤が定まらなくなる危うさが伴う。
炎や水面、光や影などが、不規則にゆらゆらと揺れ動くこと。また、心がかすかに揺れ動くこと。とどまらず、絶えず形を変えて揺れ続けるさまを表す言葉。